G.711
ITU-Tが定めた音声符号化方式の1つ。音声をPCMで8kHzで標本化し、1標本を8ビットで表して、64kビット/秒で伝送する。
イマシルちゃんの解説
G.711は、声の波の形を細かく測って、その数字をそのまま送る方式なんだ。
1秒間に何千回も波の高さを測って、それぞれを数字にするよ。
圧縮しないから、データは大きいけど、とっても素直で音もきれい。
昔からの固定電話と同じ音質だから、IP電話でもよく使われてるんだよ!
より深い解説
定義
G.711は、ITU-T勧告で定められた音声符号化方式で、PCM(Pulse Code Modulation:パルス符号変調)を用いる。電話網のデジタル化の基礎となった方式で、IP電話でも広く使われている。
PCMの3つの手順
| 手順 | 内容 | G.711では |
|---|---|---|
| 標本化(サンプリング) | 一定の時間間隔で波形の値を取り出す | 1秒間に8,000回(8kHz) |
| 量子化 | 取り出した値を、決められた段階の値に丸める | 256段階 |
| 符号化 | 段階の番号を2進数で表す | 8ビット |
符号化速度 = 8,000回/秒 × 8ビット = 64,000ビット/秒 = 64kビット/秒
標本化の周波数の決め方
電話の音声は、おおむね300~3,400Hzの周波数の範囲(電話帯域)に収まるように作られている。標本化定理(サンプリング定理)によると、元の信号に含まれる最高周波数の2倍以上の周波数で標本化すれば、元の信号を復元できる。3,400Hzの2倍の6,800Hzより余裕を持たせて、8,000Hzが選ばれている。
1回の標本化の間隔は 1 ÷ 8,000 = 125マイクロ秒である。
μ-lawとA-law
人の耳は、小さい音の変化には敏感だが、大きい音の変化には鈍い。そこでG.711では、量子化の段階を均等に分けるのではなく、小さい音ほど細かく、大きい音ほど粗く割り当てる(非線形量子化、圧伸)。この割り当て方に2種類ある。
| 方式 | 主な使用地域 |
|---|---|
| μ-law(ミューロー) | 日本、北米 |
| A-law(エーロー) | 欧州など |
8ビットの非線形量子化で、均等な量子化の12~13ビット程度に相当する音質が得られる。
パケットに入る音声データの量
| パケット化周期 | ペイロード |
|---|---|
| 10ミリ秒 | 80バイト |
| 20ミリ秒 | 64,000 × 0.02 ÷ 8 = 160バイト |
| 30ミリ秒 | 240バイト |
G.729との使い分け
G.711は圧縮しないため、処理による遅延が小さく、音質がよく、FAXの信号なども比較的そのまま通せる。その代わり、G.729の8倍の帯域を使う。LAN内の内線のように帯域に余裕がある場所ではG.711、帯域の限られたWANを通す場合はG.729、というように使い分けられる。