無停止での機器更改
冗長化されたネットワークで、ルータなどの機器を交換するときに、通信をあらかじめ別の経路に迂回させてから作業し、利用者の業務を止めずに更改すること。問題が起きたときにすぐ元に戻せる(切り戻せる)手順にしておくことが重要である。
イマシルちゃんの解説
道路工事をするとき、いきなり道を掘り始めたら、車が通れなくなって大渋滞だよね。
だから、まず「迂回路はこちら」って案内して、車がみんな別の道を通るようになってから、工事を始めるんだ。
ネットワークの機器の交換も同じだよ。
先に通信を別のルータに逃がしてから交換して、終わったら元に戻す。
しかも、何かあったらすぐに元に戻せるようにしておくのがコツなんだ!
より深い解説
全体の流れ
| 段階 | 作業 | ポイント |
|---|---|---|
| 準備 | 手順書を作り、検証環境(シミュレーターなど)で試す | 作業中の確認方法と、切り戻しの方法も決めておく |
| 迂回 | 通信が作業対象の機器を通らないように、設定を変える | OSPFのコストを十分に大きくする、VRRPのプライオリティを下げる、BGPの経路の優先度を下げる |
| 確認 | 通信が迂回して、正常に行われていることを確認する | 継続して実行しているpingに、パケットロスがないか |
| 切り離し | 作業対象の機器のインタフェースを閉塞(シャットダウン)する | 電源を切る前に、論理的に切り離す |
| 交換 | 設定を保存し、電源を切って、新しい機器に交換する | ケーブルの接続先を間違えないよう、事前にラベルを付けておく |
| 復帰 | 新しい機器のインタフェースの閉塞を解除し、隣接する機器との疎通を確認する | 隣接するすべての機器にpingを実行する |
| 迂回の解除 | 設定を元に戻し、通信を新しい機器に戻す | 通信が新しい機器を経由して正常に行われることを確認する |
迂回の方法
| 技術 | 迂回のさせ方 |
|---|---|
| OSPF | 作業する機器のインタフェースのコストを、最大値(65535)など十分に大きな値にする。ほかの経路のほうが安くなり、通信が移る |
| VRRP | 作業する機器のプライオリティを下げ、バックアップの機器をマスターにする |
| BGP | 作業する機器から広告する経路のAS_PATHを長くする、LOCAL_PREFを下げる |
| リンクアグリゲーション | 作業するリンクを束から外す |
コストを変えるのは「経路の選び方」を変えるだけなので、すぐに元に戻せる。一方、機器の電源を切ったりケーブルを抜いたりすると、元に戻すのに時間がかかる。
インタフェースを閉塞してから電源を切る理由
電源を切る前に、すべての物理インタフェースを閉塞して、ネットワークから論理的に切り離しておく。こうすると、切り離した時点で通信に影響が出た場合、閉塞を解除するだけで、すぐに元の状態に戻せる(切り戻せる)。いきなり電源を切ると、問題が起きたときに、機器を起動し直すまで元に戻せない。
作業中の監視
| 確認の方法 | 内容 |
|---|---|
| 継続的なping | 作業の前から、利用者側の端末から、作業する機器を経由する宛先へ、pingを実行し続ける。手順の各段階でパケットロスがないかを確認する |
| 宛先の選び方 | 作業する機器を経由する通信になるよう、拠点ごとに宛先を選ぶ。経由しない宛先では、影響を確認できない |
| 交換後の疎通確認 | 新しい機器から、直接つながるすべての隣接機器にpingを実行し、各インタフェースが正しく接続されたことを確認する |
| 経路の確認 | ルーティングテーブル、OSPFの隣接関係、VRRPの状態を確認する |
冗長化プロトコルの落とし穴
新しい機器を起動した直後は、OSPFなどの経路情報がまだ収束していない。VRRPのプリエンプトが有効だと、プライオリティの高い新しい機器が、すぐにマスターになって通信を引き受けてしまい、転送先がわからず通信が途切れることがある。プリエンプトディレイを設定して、経路が収束するまで待ってからマスターになるようにする。
午後での問われ方
| 問われ方 | 答え方のポイント |
|---|---|
| 迂回のための設定値 | どの値に変えれば、確実にほかの経路が選ばれるか |
| 手順の順番の理由 | 切り戻しのしやすさ、作業ミスの防止の観点から説明する |
| 追加すべき手順 | ケーブルのラベル付け、設定の保存、事前の確認など、作業ミスを防ぐ手順 |
| 確認の宛先 | 作業する機器を経由する通信、作業する機器に隣接する機器を、構成図から読み取る |