トラブルシューティング
ネットワークの不具合の原因を突き止めて解決する作業。思いつきで手を動かすのではなく、問題の定義 → 情報収集 → 切り分け → 仮説の検証の順に、論理的に進めることが大切である。
イマシルちゃんの解説
「なんかネットが遅い!」って言われたとき、いきなり機器を再起動したり、設定をいじったりしたくなるよね。
でも、それだと、たまたま直っても、なぜ直ったのかわからないし、また同じことが起きちゃう。
トラブルシューティングは、お医者さんの診察と同じなんだ。
まず「どこが、いつから、どう痛いのか」を聞いて、検査をして、「たぶんこれが原因かな」って考えて、確かめる。
午後の問題では、この「考える順番」そのものがよく問われるんだよ!
より深い解説
基本の4ステップ
| ステップ | やること | 問いかけの例 |
|---|---|---|
| 1. 問題の定義 | 症状を具体的に言葉にする | 何ができないのか。誰が、いつ、どこで困っているのか |
| 2. 情報収集 | 事実を集める | 利用者への聞き取り、機器のログ、通信量のグラフ、設定 |
| 3. 切り分け | 原因の範囲を絞り込む | 全員か一部か。いつもか特定の時間帯か。どの区間で起きているか |
| 4. 仮説の立案と検証 | 原因の候補を立て、データで確かめる | ○○が原因なら、△△のログに□□が出ているはず |
解決したら、対策を実施して症状が消えたことを確認し、原因と対策を記録して再発の防止に役立てる。
聞き取りで押さえる観点
症状の「パターン」は、原因を絞り込む最大の手がかりになる。
| 観点 | 例 | 示唆すること |
|---|---|---|
| 時間帯 | 毎朝の決まった時間だけ起きる | 利用が集中したときの容量の不足(帯域、テーブル、セッション数など) |
| 範囲 | 全員か、一部か | 全員なら共通の部分(回線、中心の機器)。一部なら個別の要因か、資源の取り合い |
| 規則性 | 特定の端末か、不特定の端末か | 不特定なら、端末ではなく、共有の資源が足りずに「たまたま」溢れた端末が失敗している可能性 |
| サービス | 外部のサービスだけか、内部のサービスもか | 内部が正常なら、インターネットへの出口(回線、NAPT、プロキシなど)を疑う |
| 症状の種類 | つながらない(タイムアウト)か、遅いか | つながらないなら資源の枯渇や遮断、遅いなら帯域の不足や遅延 |
切り分けの考え方
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 区間で分ける | 端末 → 無線LAN → スイッチ → ルータ → 回線 → インターネット → サーバの、どこで問題が起きているかを調べる |
| 層で分ける | 物理層(リンクは上がっているか)→ データリンク層 → ネットワーク層(pingは通るか)→ アプリケーション層、と下から確かめる |
| 比較する | 正常に使えている端末や時間帯と、問題が起きている端末や時間帯を比べる |
| 変更点を探す | 最近、何が変わったか(設定の変更、利用者の増加、新しい使い方の開始) |
仮説を立てて確かめる例
| 症状 | 仮説 | 確かめるデータ |
|---|---|---|
| 毎朝、多数の生徒が一斉に外部のサービスを使うと遅い | インターネットの回線の帯域が足りない | ルータの外側のポートの通信量が、ある値で頭打ちになっていないか |
| 同じ時間帯に、一部かつ不特定の端末だけログイン画面が出ない | ルータのNAPTの変換テーブルが足りない | ルータのシステムログに、変換テーブルが満杯になった記録がないか |
| ルータのCPU負荷は低いのに速度が出ない | 機器の処理能力ではなく、回線(契約)が上限 | 事業者への問い合わせ、契約の種類(ベストエフォートか) |
ここで大切なのは、1つの仮説に飛びつかず、症状の特徴をすべて説明できる仮説を考えることである。たとえば「遅い」だけなら帯域の不足で説明できるが、「一部の端末だけがつながらない」という症状は、帯域の不足だけでは説明しにくく、別の資源の不足を疑うきっかけになる。
午後での問われ方
| 問われ方 | 答え方のポイント |
|---|---|
| ある仮説を立てた理由 | 聞き取った症状のうち、どの特徴が、その仮説を示しているかを答える |
| グラフやログから読み取れること | 頭打ち、急増、時刻の一致など、事実を正確に読み取る |
| 必要な設定値の計算 | 1台あたりの使用量 × 台数 など、条件を整理して計算する |
| 改善策 | 仮説で特定した原因に、直接効く対策を選ぶ(回線の契約の変更、テーブルの拡張、保持時間の調整など) |