R値
IP電話などの通話品質を、ノイズ、エコー、遅延、パケット損失などの要素から計算して表す客観的な指標。ITU-T G.107のEモデルで定められ、値が大きいほど品質がよい。
イマシルちゃんの解説
通話の品質を、人に聞いて点数をつけてもらうのは手間がかかるよね。
そこで、「雑音がこれくらい」「声の遅れがこれくらい」「パケットがこれくらい失われた」っていう、
測れる数字を計算式に入れて、通話の品質を点数にしちゃうのがR値なんだ!
満点はおよそ100点で、点数が高いほど、聞きやすい通話ってことだよ。
より深い解説
定義
R値(Transmission Rating Factor)は、ITU-T勧告G.107で定められたEモデルによって算出される、通話品質の評価値である。送話・受話の音量、雑音、エコー、遅延、コーデックによる劣化、パケット損失など、伝送路の物理的な特性から計算する。人が実際に聞いて評価する必要がないため、ネットワークの設計段階で品質を予測するのに使える。
計算式
R = R0 − Is − Id − Ie,eff + A
| 要素 | 意味 | 主な要因 |
|---|---|---|
| R0 | 基本的な信号対雑音比 | 回路や周囲の雑音、送受話の音量 |
| Is | 音声と同時に生じる劣化 | 量子化ひずみ、送話音量が大きすぎる・小さすぎる |
| Id | 遅延による劣化 | 通話の遅延、エコー |
| Ie,eff | 機器による劣化 | コーデックによる圧縮のひずみ、パケット損失 |
| A | 期待値による補正(利便性の補正) | 携帯電話や衛星電話のように、利用者が品質の低さを許容する場合に加える |
すべての劣化がない状態の標準値では、Rは約93.2となる。値の範囲は0~100で、大きいほど品質がよい。
R値と品質の目安
| R値 | 満足度 | MOS値の目安 |
|---|---|---|
| 90以上 | とても満足 | 4.3以上 |
| 80~90 | 満足 | 4.0~4.3 |
| 70~80 | 一部の利用者が不満 | 3.6~4.0 |
| 60~70 | 多くの利用者が不満 | 3.1~3.6 |
| 50~60 | ほとんどの利用者が不満 | 2.6~3.1 |
R値は、計算式によってMOS値に換算することもできる。
日本のIP電話の品質基準
日本では、IP電話の品質がR値と遅延で区分されている。
| クラス | R値 | エンドツーエンドの遅延 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| A | 80超 | 100ミリ秒未満 | 固定電話並み |
| B | 70超 | 150ミリ秒未満 | 携帯電話並み |
| C | 50超 | 400ミリ秒未満 |
0AB~J番号(市外局番から始まる番号)のIP電話は、固定電話と同等の品質として、R値が80を超え、遅延が150ミリ秒未満であることが求められる。050番号のIP電話は、表のCの区分以上であればよい。
ほかの品質の指標との違い
| 指標 | 性質 | 求め方 |
|---|---|---|
| R値 | 客観的な計算値 | ノイズ、エコー、遅延などの要素から計算する |
| MOS値 | 主観的な評価 | 人が実際に聞いて、5段階で評価した平均 |
| ジッタ | 1つの要素 | パケットの到着間隔のゆらぎ |
| パケット損失率 | 1つの要素 | 送ったパケットのうち、失われた割合 |
ジッタやパケット損失率は、品質に影響する「要因」の1つであり、R値はそれらを含めた複数の要因から算出される「総合的な評価値」である。