アーラン

読み:あーらん / 英語表記:erlang

呼量を表す単位。1回線が観測時間中ずっと使われ続けている状態を1アーランとする。

イマシルちゃんの解説

ねえねえ、コールセンターの電話回線って、何本用意すればいいと思う?
少なすぎるとお客さんが繋がらないし、多すぎるとお金がもったいないよね。
そこで「回線がどれくらい混んでるか」を数字で表すのがアーランなんだ!

計算はシンプルだよ。

呼量 = 呼数 × 平均保留時間 ÷ 観測時間

たとえば1時間に30回電話がかかってきて、1回あたり平均2分話したとすると、
30 × 2分 ÷ 60分 = 1アーラン。
回線1本がまるまる1時間ふさがってたのと同じ量ってことだね!

より深い解説

定義

アーラン(erl)は、通信回線や交換機に加わるトラフィックの量、すなわち呼量を表す単位である。デンマークの数学者 A. K. アーラン(Agner Krarup Erlang)にちなむ。

呼量は、観測時間内に発生したすべての呼の保留時間(回線を占有していた時間)を合計し、観測時間で割ったものとして定義される。時間を時間で割るため、単位としての次元は持たない。

呼量[erl] = 延べ保留時間 ÷ 観測時間
         = 呼数 × 平均保留時間 ÷ 観測時間
         = 呼の発生率(単位時間あたりの呼数)× 平均保留時間

3つの式はすべて同じ意味である。計算で最も間違えやすいのは時間の単位の不一致で、呼数が「1時間あたり」、平均保留時間が「秒」で与えられた場合は、どちらかを換算してそろえる必要がある。

例:1時間に180回の呼があり、平均保留時間が80秒の場合
180 × 80秒 ÷ 3,600秒 = 4 erl

「1回線の使用率 × 回線数」で理解する

呼量は、次のように読み替えると直感的に理解しやすい。

呼量 = 1回線あたりの使用率 × 回線数

ここから次の2つの性質が導ける。

  1. 1回線の呼量は1 erlを超えない。 使用率は100%が上限だからである。そのため、1回線あたりの呼量はそのまま「回線使用率」と同じ値になる。
  2. 呼量は平均同時接続数に等しい。 6 erlとは「平均すると常に6本の回線が同時に使われている」状態を意味する。したがって、呼量が6 erlのときに回線を6本しか用意しなければ、混雑する時間帯にはあふれる呼が必ず発生する。

回線交換方式との関係

アーランは、電話網のような回線交換方式のトラフィック設計で使われる。回線交換では、通話の開始から終了まで1本の回線(チャネル)を1つの呼が独占する。そのため「呼の保留時間 = 回線の占有時間」となり、呼量がそのまま必要な回線数の見積もりに直結する。

これに対し、パケット交換方式では複数の通信が1本の回線を時間的に分け合って使う(統計多重)。1つの通信が回線を独占しないため、回線数ではなく帯域の利用率や待ち行列(M/M/1モデルなど)で性能を評価するのが一般的である。

ただし、IP電話でも「同時に何通話まで扱えるか」(SIPトランクのチャネル数、PBXの同時通話数など)を決める場面では、アーランによる設計がそのまま使われる。

呼損率とアーランB式

回線数が有限であれば、すべての回線がふさがっているときに発生した呼は接続できない。これを呼損といい、加わった呼のうち呼損となる割合を呼損率という。

呼が不規則(ポアソン分布)に発生し、あふれた呼は待たずに消える(再発信しない)という前提では、呼量 a [erl]、回線数 S のときの呼損率 B はアーランB式で求められる。

            a^S / S!
B = ─────────────────────
     Σ(k=0..S) a^k / k!

例:a = 1 erl、S = 2回線のとき
B = (1²/2!) ÷ (1 + 1 + 1²/2!) = 0.5 ÷ 2.5 = 0.2(呼損率20%)

試験では式を計算させるより、呼量・回線数・呼損率の対応表(アーランB表)を与えて必要な回線数を読み取らせる形式が多い。

加わる呼量と運ばれる呼量

両者には次の関係がある。

運ばれる呼量 = 加わる呼量 × (1 − 呼損率)

呼損率がある問題で「実際に回線が使われている量」を問われたら、運ばれる呼量のほうを答える。

待時式とアーランC式

あふれた呼を消さずに待たせる方式(コールセンターで「順番におつなぎします」と待たせる形)を待時式という。この場合は呼損率ではなく「待たされる確率」や「平均待ち時間」が評価指標になり、アーランC式(待ち行列モデル M/M/S)を使う。呼損式(アーランB)と待時式(アーランC)の区別は押さえておきたい。

最繁時呼量

回線数の設計は、1日の平均ではなく、呼量が最も多くなる1時間(最繁時)の呼量を基準に行う。平均で設計すると、ピーク時に呼損率が想定を大きく上回るためである。

よくある引っかけ

実際の試験ではここに出る!