マルチキャストアドレス

読み:まるちきゃすとあどれす / 英語表記:multicast address

特定のグループに属する複数の宛先へ、まとめてデータを届けるためのアドレス。IPv4では先頭の4ビットが1110のクラスDのアドレスで、残りの28ビットで受信するグループを識別する。

イマシルちゃんの解説

1人に送るのがユニキャスト、全員に送るのがブロードキャストなら、
マルチキャストは「このグループに入っている人にだけ送る」方法なんだ。

テレビのチャンネルを思い浮かべてみて。
見たい人だけがそのチャンネルに合わせれば、番組が届くよね。
マルチキャストアドレスは、このチャンネル番号みたいなものなんだよ!

より深い解説

定義

マルチキャストアドレスは、1つの送信元から、同じグループに参加している複数の受信者へ、1回の送信でデータを届けるための宛先アドレスである。マルチキャストアドレスは「場所」ではなく「グループ」を表すため、送信元アドレスとしては使えず、ホストのインタフェースに割り当てることもない。

IPv4のマルチキャストアドレス

IPv4では、旧来のクラス分けでいうクラスDのアドレスがマルチキャストアドレスである。

項目内容
先頭のビット1110
範囲224.0.0.0 ~ 239.255.255.255(224.0.0.0/4)
残りのビット28ビット。受信するホストのグループ(マルチキャストグループ)を識別する

ユニキャストのアドレスのように「ネットワーク部とホスト部」に分かれるのではなく、先頭の4ビットを除いた残りすべてが、グループを識別するための番号として使われる。

主なアドレスの範囲

範囲用途
224.0.0.0/24リンクローカル。ルータを越えない。プロトコルの制御用
232.0.0.0/8SSM(送信元指定マルチキャスト)
239.0.0.0/8組織内で使う(管理スコープ)。IPv4のプライベートアドレスに相当
アドレス宛先
224.0.0.1同じネットワークのすべてのホスト
224.0.0.2同じネットワークのすべてのルータ
224.0.0.5すべてのOSPFルータ
224.0.0.6OSPFのDRとBDR
224.0.0.9RIPv2のルータ

MACアドレスへの対応

イーサネットでマルチキャストを送るとき、宛先MACアドレスは、IPv4のマルチキャストアドレスから機械的に作る。

01-00-5E + (IPマルチキャストアドレスの下位23ビット)

28ビットのグループ番号のうち、上位の5ビットはMACアドレスに反映されないため、32個のIPマルチキャストアドレスが同じMACアドレスに対応する。

IPv6では、33-33 に、IPv6マルチキャストアドレスの下位32ビットをつなげたものを使う。

IPv6のマルチキャストアドレス

IPv6では、先頭8ビットが1のアドレス(ff00::/8)がマルチキャストアドレスである。IPv6にはブロードキャストがないため、近隣探索などの多くの制御にマルチキャストが使われる。

アドレス名前受け取る機器主な使い道
ff02::1全ノードマルチキャストアドレスリンク上のすべての機器ルータ広告(RA)の定期送信、IPv4のブロードキャストの代わり
ff02::2全ルータマルチキャストアドレスリンク上のすべてのルータ端末が送るルータ要請(RS)
ff02::1:ffXX:XXXX要請ノードマルチキャストアドレスIPv6アドレスの下位24ビットが同じ機器だけ近隣要請(NS)によるアドレス解決、重複アドレス検出
ff02::5、ff02::6OSPFv3のルータOSPFv3のルータOSPFv3の経路情報の交換

全ノードは「リンク上の全員」、要請ノードは「特定のアドレスを持っていそうな機器だけ」に届く点が違う。アドレス解決に全員宛ての全ノードマルチキャストを使わないのは、関係のない機器の負担を減らすためである。

似たアドレスとの区別

アドレス例意味
マルチキャストアドレス224.0.0.0~239.255.255.255参加しているグループ全員
ブロードキャストアドレス192.168.1.255(192.168.1.0/24の場合)ネットワーク内の全員
ループバックアドレス127.0.0.1自分自身
クラスE240.0.0.0~255.255.255.254(先頭4ビットが1111)将来のための予約(実験用)

先頭4ビットが1111のアドレスは、マルチキャストではなくクラスE(予約済み)である。マルチキャストのアドレスは、ホストのIPアドレスとして設定することはできない。

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